労働者の動線で安全対策 ~オーバーハング部の乗り出し作業編~

この建物のガラス清掃は年6回の奇数月作業。7階建てで5階からセットバックした構造ですが、建物中央部は3階から階下に向かい、今度は逆にオーバーハングしている特殊な構造となっています。

この建物のガラス清掃はブランコ作業ですが、オーバーハング部にはキャットウォーク(作業用通路)が設けられており、この箇所は乗り出し作業となります。厄介なことに、3階から地下1階まで階下に向かい、さらにガラス面が奥にへこんでいく構造です。

 さて、労働安全衛生規則の第519条(開口部の囲い等)には、

事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。

と明記されていますが、この作業場にはその手すりがありません。しかし、幸いなことに3階と2階の両壁面には堅固な支持物である鉄製アンカーが設置されています。

それをロープの吊元として水平親綱を設置し、フルハーネス型墜落制止用器具のランヤードを連結し乗り出し作業に臨みます。

ところが、地下1階まで吹き抜けている1階にはその鉄製アンカーがありません。そこで、2階の水平親綱を利用し、その親綱にカラビナを連結し、垂直親綱(ライフライン)を設置。ブランコ作業同様、フルハーネスの墜落阻止器具を連結します。

乗り出し作業もブランコ作業同様『労働者の動線での安全対策』が必須となります。~以下、関連安衛則~

(調査及び記録)

第539条4-3 作業箇所及び前号の支持物に通ずる通路の状況

のとおり、この作業場でも事前調査が必要不可欠で、その墜落防止策を講じることが肝要です。

この乗り出し作業用の2本の水平親綱と垂直親綱は、常設しており雨ざらしとはなりませんが、強度低下が懸念されます。よって、2年に一度この各親綱の交換を社内ルールで取り決めています。

~ご安全に~

(投稿者:H.O)

東京外装メンテナンス協同組合

03-5817-6977

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