法令で義務化された、“調査及び記録”と“作業計画”。その中には、『メインロープ及びライフラインを緊結する支持物(吊元)の位置』と『労働者の動線での安全対策』が盛り込まれています。~以下、労働安全衛生規則の条文~
(調査及び記録)
第539条4-2メインロープ及びライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置及び状態並びにそれらの周囲の状況
第539条4-3 作業箇所及び前号の支持物に通ずる通路の状況
(作業計画)
第539条5-2-3 インロープ及びライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置
第539条5-2-7 メインロープ及びライフラインを支持物に緊結する作業に従事する労働者の墜落による危険を防止するための措置
写真の建物は、ブランコ作業による外壁調査業務。ブランコ作業によるガラス清掃は当然、窓ガラス清掃箇所にメインロープとライフラインを設置しますが、外壁調査の場合、調査可能な両手幅すべての箇所にこの2本のロープを設置及び移設を繰り返すため、その回数が多くなります。そういった作業環境でもあるため、屋上パラペット(笠木)周辺での労働者の墜落防止措置が非常に重要です。
この建物屋上は、上の写真のように屋上フェンスとパラペット間である労働者の動線幅は約40㎝。ロープの支持物となる丸環がないため、約2m間隔に据え付けられたフェンス支柱の複数のコンクリート土台に台付けスリングを設置、それがロープ緊結の支持物(吊元)になります。
さらに、その台付けスリングは、労働者のフルハーネス2兆掛けランヤードフックを連結した墜落防止措置の役割となる水平親綱にもなります。また、写真のように、キュービクルボックスのH鋼に溶接したアイプレートにも台付けスリングを設置し、労働者動線上のロープ吊元兼墜落防止用水平親綱となります。
ところで、メインロープ及びライフラインを緊結する支持物は原則、別々の吊元を選定しなければなりません。メインロープに搭乗した際台付けロープに張力が掛かるため、台付けスリングがメインロープの吊元となり、荷重の掛からないライフラインの吊元はロープ設置ポイントの延長線上にある、下写真1~4の支持物がその対象となります。
繰り返しますが、安全なブランコ作業の業務遂行は、事前の“調査及び記録”を実施し“作業計画”を作成、危険な作業環境を安全な作業環境に変更することが肝要です。すなわち、本ブログに以前寄稿した、【調査記録によるリスクアセスメントと作業計画 ~No.2~】の“安全防護対策”がそれに当たります。
~ご安全に~
(投稿者:H.O)
東京外装メンテナンス協同組合
03-5817-6977