『定常的または日常的に行われる作業については、比較的標準類や作業手順書が整っており、事故や災害の発生を未然に防止することができている。~中略~ ところが、非定常作業で災害が発生する割合は非常に高い。』*中央労働災害防止協会発刊、職長の安全衛生テキストから抜粋
同テキストでは、その原因として、
① 十分な作業的時間がない
② 作業者が作業に慣れる機会が少ない
③ 非定常作業における作業手順書の不備
を挙げています。
さて、労働安全衛生規則に定められているロープ高所(ブランコ)作業の、“調査及び記録”並びに“作業計画”。その作成は定常的となる定期ガラス清掃のブランコ作業前に実施しますが、非定常作業となる建物の外壁清掃や外壁調査のブランコ作業時、その作成はどうなっていますか…?
上記3点の指摘とおりになっていませんか……!?
ブランコ作業でのガラス清掃は、当然ガラスが位置する箇所にメインロープ及びライフラインの2本のロープを設置・移設しますが、外壁清掃や外壁調査時は、外壁面両手幅間隔ですべての位置にそのロープを盛り替えなければなりません。例えば、建物非常階段部の外壁面に垂らすロープ。そのロープの設置ポイントは、建物の水平なパラペット角部ではなく2フロアを横切る傾斜している外壁角部に位置し、その設置ポイント保持やロープ切断防止策の技術が要求されます。
やはり重要!非定常時のブランコ作業。
ここで紹介するのは、外壁調査のブランコ作業の、調査及び記録と作業計画です。

建物屋上には丸環がなく、ロープの支持物となる個所は、建物2面の外壁柱。ここにスリングを連結し、2本のロープを緊結します。~赤楕円形部~
ところが、南面と西面の2面は階下までのセットバック構造となっており、吹抜け部のそこには約3.5mのフェンスが立ち上がっています。


労働安全衛生規則~調査及び記録~
第539条4-2 メインロープとライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置及び状態並びにそれらの周囲の状況
と定められ、南面の2本のロープの支持物は北面に位置する外壁柱。西面の2本のロープの支持物は東面に位置する外壁柱。よって、この2面のロープは、青色の水平な状態でロープが設置されることになります。また、
労働安全衛生規則~調査及び記録~
第539条4-3 作業箇所及び前号の支持物に通ずる通路の状況
と定められていますが、作業者はライフラインに墜落阻止器具を連結し、メインロープに搭乗することを検討しなければなりません。したがって、右注記とおり、黄色表示のはしごをフェンスに立て掛けて登り、そこからロープへの搭乗となります。
さらに、
労働安全衛生規則~調査及び記録~第539条4-4切断のおそれのある箇所の有無並びにその位置及び状態
に定められているとおり、フェンス上部に走る水平支柱(上写真黄色〇枠部)及びフェンス下の建物パラペット角部には、ロープの切断防止策となる厚手の布製養生材や巻き付け型養生材の使用も必要不可欠となります。

~ご安全に~
(投稿者:H.O)
東京外装メンテナンス協同組合
03-5817-6977